あなたのにきび、
顎にきび・背中にきび・胸にきび?

顎にきび“思春期後にきび”とは

(症例1:顎)顎にきび

(症例1:顎)顎にきび →

女性の“顎にきび”は、男性で言えばちょうど髭がはえるところにでき、生理前に悪化するのが典型的です。

これは10代の頃のにきびとは異なり、20歳から30歳代の働く女性に多く、“大人にきび(思春期後ざ瘡)”と言われます。

また、「10代の頃にはにきびはほとんどできなかったのに・・・」という思春期後に発症するケースが多いのも特徴です



背中にきび、胸にきび

(症例2:背中)背中にきび

(症例2:背中)背中にきび →

胸や背中も顔とならんで脂腺が発達し、にきびができやすい部位です。

思春期に胸や背中にもにきびができることはよくあります。しかし、思春期後にできてきた場合は、顎にきびと同様、“思春期後にきび”の可能性があります。

また、夏期のみ悪化する“夏期ざ瘡”と呼ばれるにきびも、胸や背中に左右対称性に生じる、20歳から30歳代に多いにきびです。

これは一般的なにきび治療が無効なことが多いですが、秋になると自然に改善します。



思春期後にきびはなぜできる?

思春期後に発症するにきびは、男性ホルモン(アンドロゲン)の血中濃度の増加と関係があるといわれています。

男性ホルモンには脂腺の発育を促し皮脂分泌を増加させる作用があります。

ですから、男性ホルモンの分泌量が増加する思春期には、脂腺が大きく発達し、皮脂分泌量も増加してにきびができます。男性ホルモンの分泌量は、男女とも20歳前後にピークとなり、その後は低下していきますが、思春期後にきびの人では男性ホルモンの血中濃度が異常高値を示すことが多いといわれています。

(女性では30歳代にも男性ホルモンの分泌量に小さなピークがあります)


MEMO 女性のにきびも男性ホルモンが原因!?

男性の精巣で作られるテストステロンという男性ホルモンが最も強力に作用しますが、男性だけでなく女性の場合も副腎で作られるデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)やその硫酸飽和型のDHEA-Sという男性ホルモンが脂腺の発育を促します。

また、脂腺にはDHEAや卵巣から分泌されるホルモンを強力なテストステロンに変換する働きがあるので、女性といえども男性ホルモンの影響は決してあなどれないのです。


MEMO 生理前にはなぜにきびができる?

生理前には、卵巣から男性ホルモン作用のある黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増加し、逆に抗男性ホルモン作用のある女性ホルモン(エストロゲン)が減少するので、生理前ににきびが悪化しやすくなります。

思春期後にきび治療戦略

男性ホルモンには精巣や卵巣から分泌されるものと副腎皮質から分泌されるものとがあります。“思春期後ざ瘡”では血中の男性ホルモン濃度が高値になりますが、それは主に副腎皮質由来の男性ホルモンの増加によります。

人は様々なストレスを受けることによって副腎皮質からのホルモン分泌が増加しますので、ストレスの多い生活が副腎からの男性ホルモンの分泌量を増やします。これは現代女性の男性化徴候のひとつであるともいわれています。

現代は働く女性(男性社会で戦う女性)が増えていますが、「働く(戦う)」というストレスが“思春期後にきび”の原因になっているのかもしれません。ですから、“思春期後にきび”の治療では、ストレスを上手に解消することが重要です。とは言っても、ストレス解消なんてそう簡単にはいきませんし、にきび自体がストレスになりますので、医師に相談されるのもよいでしょう。

また、思春期後まで治らないにきびの中には、にきびと生理不順や多毛症などを生じる多嚢胞性卵巣症候群など、婦人科的な病気の皮膚症状としてのにきびがあります。このような場合は医療機関の受診が必要です。

ストレス解消

クリニックのにきび治療

健康保険で受けられる治療

1、抗男性ホルモン治療

黄体ホルモン代謝産物(ジオール(R))

にきびに対して保険適応のある唯一のホルモン剤。血中の男性ホルモンを減少させることにより、にきびの改善を期待して投与されますが、大量投与でないと男性ホルモンの低下がみられないともいわれ、その場合、月経周期の乱れや不正出血をきたすことがあります。

2、炎症を抑える治療赤にきび小さいもの

3、脂分泌を抑える治療赤にきび小さいもの

4、面皰や膿を排出する治療赤にきび小さいもの

自費で受ける治療

思春期後にきび”は、男性ホルモンの過剰な作用が原因である可能性があるので、他のタイプのにきび治療で紹介したような健康保険による治療法は無効なことがあります。ここでは、ホルモン療法を中心に代表的な治療について紹介します。


1、ホルモン療法

1)スピロノラクトン(アルダクトンA(R))

スピロノラクトンは、利尿剤のひとつで、高血圧の治療薬ですが、男性ホルモンの受容体(※)に結合して男性ホルモンと競合するので、皮膚における男性ホルモンの作用を抑えます。よって男性ホルモンの過剰によってできる思春期後にきびに直接的に効きます。ただし、副作用として月経周期の乱れや不正出血をきたすことがあります。

※受容体:ホルモンがターゲットの細胞に作用するときに結びつく細胞膜上の結合部位


2)総合代謝性ホルモン剤(メサルモン-F(R))

婦人科で用いられるホルモン剤で、血中の男性ホルモンを減少させる作用があるため、思春期後にきびにも有効です。


2、外用剤による治療コメドタイプ

トレチノイン(レチノイド:ビタミンAの誘導体)

トレイノインは、面皰形成を抑えコメドタイプのにきびに有効ですが、皮脂腺を萎縮させる作用があり、思春期後にきびの生理前の悪化を抑えます。また、角質を剥がす作用によって赤にきびの治癒を早め、にきび跡が残りにくくなります。


3、ケミカルピーリング赤にきび小さいもの

4、炭酸ガスレーザーによる排膿、皮脂腺焼灼赤にきび大きいもの

5、光線療法 Blue light therapy赤にきび小さいもの